汗が出てくる箇所を汗腺といいますが、人間には2種類の汗腺しかありません。それはアポクリン腺とエクリン汗腺といいます。ではその2種類の汗腺の違いはなんでしょうか。悩んでいる顔汗は何が原因なのか?汗の知識を身につけ自分で理解する事から始めましょう。
アポクリン腺
アポクリン腺は体の部位ごとに存在します。主に耳の中、乳輪、脇の下、おへそ、外陰部などに存在しています。アルカリ性の性質をもち、70%~80%の水分、タンパク質、脂質、糖質、アンモニア、鉄分などによって形成されています。
アポクリン腺から出る汗は乳白色で、ほとんどニオイは無いです。しかし毛の生えている場所にあるため、ニオイが充満し、ワキガなどの強い匂いを発する原因となっています。
アポクリン腺からでる汗は昔の時代はフェロモンを出し、良い匂い、異性を引き付ける匂いとして認識されていました。しかし近代社会において、とくに日本では無臭が好まれる時代です。匂いそのものを嫌がる国民性らしく、このアポクリン腺から出る汗の匂いを嫌がります。外国などはアポクリン腺から出る少量の匂いならセックスアピールとして異性を引き付けるのによいとされています。
よってアポクリン腺から出る汗は、性的興奮を覚えた場合などに多く分泌され、体臭を自ら発して異性を引き付ける場合に多く分泌されると考えられています。
ワキガなどで困っている方は「日常生活でも出てるから困っているんだ!」とお思いかもしれませんが、アポクリン腺から少量でも出た汗は、全身にあるエクリン腺にから出る汗&毛が密集している場所や蒸れている場所のせいで、匂いが広がってしまっているのです。
顔汗に困っている方には朗報です。顔汗にはこのアポクリン腺はあまり関係ありません。
エクリン汗腺
大汗腺ともいい、ほぼ全身に分布している汗腺です。全身で200万個から500万個あると言われ、体でエクリン腺がない部分は無いといわれるほどです。
エクリン腺が無い部分をあげるとしたら蒸発出来ない"爪の間"や、何を食べても塩味になってしまう可能性のある"唇"です。
エクリン腺から出る汗は酸性で99%水でできており、残りの1%には塩分やカリウムなどが含まれいます。よってエクリン腺からでる汗にはニオイが無く、無色という性質があります。
汗自体に匂いは無いのですが、エクリン腺が多い場所に手の平があります。手の平は色々な物を触り、雑菌が多く繁殖しそれが匂いの元となっていることが多いです。
また足の裏にもエクリン腺が密集しています。匂いの無いはずのエクリン腺が何故臭いのかというと、これも毎日履いている靴や、靴下に原因があり、雑菌が徐々に増えていった結果匂いを発する原因となっています。
枕や、ベットの匂いが気になってくるのもこの雑菌の繁殖のせいです。
エクリン腺を知れば顔汗が変わる
エクリン腺の数は3歳までに決まると言われています。寒い場所で育った、暑い場所で育った、など幼少期の育つ環境で大きく変わるようです。
このほかにはロシア人>日本人>ベトナム人とエクリン腺の数が増えるといった研究結果もあるようです。
では、なぜエクリン腺の数が3歳の頃から変わらないのに大人になると汗をかく量が増えるのでしょうか。私は特に顔汗の出る量が昔より多くなったと感じています。その理由は以下の3つの"汗をかく原因"に由来します。
1 温熱性発汗
これは運動をした時や、気温の変化で体の体温が上がった時に体温調節をする目的で出る汗で、昔より体に筋肉がついて筋肉質になって基礎代謝があがった場合や、メタボ体質になり、体の体温が昔より上がった場合によるものと思われます。
温熱性発汗について詳しく解説した記事:筋肉と脂肪の付き方で顔汗量が変わる?
2 精神性発汗
これはストレスを感じた場合や緊張状態になった場合にかく汗で交感神経が活発になり汗が出る仕組みです。
精神性発汗について詳しく解説した記事:緊張するとなぜ汗をかくのか?精神性発汗を理解して克服しよう!
3 味覚性発汗
これは香辛料などによって発汗神経が刺激を受けたり、それに伴い体温の上昇によって出る汗です。
味覚性発汗について詳しく解説した記事:辛いものだけじゃない!?顔汗に気をつけるべき香辛料
1,2,3,ごとにTPOで顔汗が出るのは違うので、それぞれの対処法をする必要があります。